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海上幕僚長から自衛艦隊司令官・各地方総監・教育航空集団司令官・練習艦隊司令官・中央通信隊群司令・海洋業務隊司令長あて

海上自衛隊海洋業務実施基準について(通達)

 標記について、別冊のとおり定める。

 なお、海幕運第1157号(47.3.7)は廃止する。

添付書類:別冊「海上自衛隊海洋業務実施基準 付録 海洋通報等のあて先及び通報様式(注意)(所要のむきに配布)」

海幕運第1700号(53.4.22)別冊

海上自衛隊海洋業務実施基準

目次

第1 総則

1 趣旨

2 海洋業務の要旨

3 用語の意義

4 略語

5 使用時刻

第2 観測

1 観測の区分

2 定期観測

3 一般観測

4 指定観測

5 その他の観測

6 観測要領

第3 観測資料等の処理

1 観測記録等の作成

2 観測記録等の処理

3 海洋機関からの資料の収集等

4 海洋業務期報

第4 海洋予察資料等の作成及び配布

1 対潜海洋予報

2 海洋図誌の編さん及び配布

第5 海洋に関する研究

1 海洋業務群における研究

2 地方隊における研究

3 その他の部隊及び機関における研究

第6 その他

1 海洋業務報告

2 技術指導

3 資料の保管

4 委任規定

付録:海洋通報等のあて先及び通報様式(注意)

   第1 総則

1 趣旨

 この基準は、海上自衛隊の部隊において実施する海洋業務について必要な事項を定めるものとする。

2 海洋業務の要旨

 海洋業務は、海上作戦遂行の基盤である。関係部隊は密接な連係のもと積極的に海洋観測を実施し、不断から海洋環境の科学的解明に努めるとともに、充実した海洋予察資料等の作成とその活用を図るものとする。

3 用語の意義

 この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 海洋観測 海洋における水温、塩分、海潮流、海底地形、底質、生物、音響、電導度及び地磁気等について測定又は観察することをいう。(以下「観測」という。)

(2) 定期観測 観測時期、観測線及び観測点を定め、定期的に実施する観測をいう。

(3) 一般観測 航海中又は訓練中の艦艇及び航空機が行動している海域において随時に実施する観測をいう。

(4) 指定観測 観測項目、観測時期等を指定して実施する観測をいう。

(5) 海況予報 対潜戦等に必要な水温、波浪及び海潮流等についての解析及び予想をいう。

(6) 探知距離予報 対潜戦等に使用する音響捜索測的武器の探知距離についての予想をいう。

(7) 対潜海洋予報 海況予報及び探知距離予報を総称して対潜海洋予報という。

(8) 定期予報 特定点について定期的に作成配布する探知距離予報をいう。

(9) 要求予報 対潜戦等に関係する部隊からの要求に応じ作成配布する探知距離予報をいう。

(10) 部隊予報 自衛艦隊指揮支援システム(以下「SFシステムという。)の端末装置を保有する部隊が、当該端末装置を使用して計算作成する探知距離予報をいう。

(11) 海洋通報 水温、海潮流、環境雑音及び潮目等の観測資料に関する通報をいう。

(12) 自衛艦隊司令官等 自衛艦隊司令官、護衛艦隊司令官、航空集団司令官、潜水艦隊司令官、各地方総監及び各掃海隊群司令をいう。

(13) 航空基地隊等 大湊及び小松島航空隊並びに各航空基地隊(徳島、小月航空基地隊を除く。)をいう。

(14) 海洋機関、海上保安庁、気象庁、水産庁、都道府県水産試験場及び海洋業務を行うその他の部外の機関をいう。

4 略語

 この基準において便用する略語は、別表「略語表」による。

5 使用時刻

 この基準において使用する時刻は、原則として日本標準時とする。

   第2 観測

1 観測の区分

 観測の区分及び種類並びに観測を実施する艦艇及び航空機の担当の基準は、次のとおりとする。
区  分
種  類
担当の基準

定期観測
定期BT観測
BT又はXBT装備の艦艇

定期ART観測
航空機

定期BTブイ観測

定期雑音観測

一般観測
航海中のBT観測
BT又はXBT装備の艦艇

潜航中の水中音速観測
潜水艦

訓練中のBTブイ観測
航空機

訓練中の雑音観測

指定観測
海底地形観測
海洋観測艦

海底プロフイル観測

底質観測

海底調査
掃海艇、海洋観測艦

外洋水温構造等観測
海洋観測艦、航空機

海潮流観測
海洋観測艦

地磁気観測

海中電導度観測
掃海艇

雑音観測
海洋艦測艦、航空機

音響特性調査
海洋観測艦、航空機、掃海艇

その他の観測
艦艇及び航空機

2 定期観測

 護衛艦隊司令官、航空集団司令官及び各地方総監は、次の定期観測を行う。ただし、定期BT観測の実施については、特令する。
観測の種類
実施

部隊
観測

時期
観 測

海域等
観 測 項 目
記   事

定期BT観測
護艦隊各地隊
隔月1回を標準とする。
  観測線は、別図第1に示す観測線を基準とし、護艦隊司令官及び各総監が海洋群司令と調整し定めるものとする。
(1) BT又はXBTによる水温構造及び表面水温

(2) 風浪、うねり及び気象要素等
(1) 観測点間隔は10〜15マイルを標準とする。

(2) BTは、原則としてC型を使用するものとする。

定期ART観測
空 団
  毎月3回を標準とする。
  別図第2に示す 観測海域
(1) ARTによる表面水温

(2) 潮目
  ART観測線、BTブイ観測及び雑音観測の観測点並びに実施時期については、空団司令官が海洋群司令と調整し定めるものとす る。

定期BTブイ観測
(1) BTブイによる水温構造

(2) 風浪、うねり、天気、気温及び雲

定期雑音観測
  毎月1回を標準とする。
(1) 海中雑音レベル指示器による雑音

(2) 風浪、うねり、天気、気温、雲及び降水現象

(3) 通航船舶

注:気象要素等とは、風、気温、露点温度、気圧、天気、雲及び視程をいう。(以下同じ。)

3 一般観測

 艦艇及び航空機の長(以下「艦艇等の長」という。)は、航海中又は訓練中(以下「航海中等」という。)任務に支障のない範囲で次の一般観測を行う。
観測の種 類
艦艇又は

航空機
観測

時期
観測

海域
観 測 項 目
記   事
航海中のBT観測 BT又はXBT装備の艦艇 6時間ごとを示準とする。 行動海域ただし、内海、湾内を除く。
(1) BT又はXBTによる水温構造及び表面水温

(2) 風浪、うねり及び気象要量

(3) GEKによる海潮流
(1) BTはC型を使用するのを例とする。

(2) 海潮流の観測は、GEKにを装備する場合のみ実施する。
潜航中の水中音速観測 潜水艦
(1) 水中音速及び潜航前後における表面水温

(2) 潜航前後における風浪、うねり及び気象要素等
 
訓練中のBTブイ観測 BTブイ又はXBT装備の航空機  
(1) BTブイ又はXBTによる水温構造

(2)風浪、うねり、天気、気温及び雲
訓練中の雑音観測 海中雑音レベル指示器装備の航空機 訓練等の必要の都度
(1) 海中雑音レベル指示器による雑音

(2)風浪、うねり、天気、気温、雲及び降水現象

(3)通航船舶

4 指定観測

 指定観測は各年度の海上自衛隊業務計画細部計画により示すもののほか自衛艦隊司令官等及び海洋業務群司令は、次により実施部隊、時期、海域、観測項目等を指定して行うことができる。
実施部隊
     観測を実施する基準
  観測海域

自鑑隊

護鑑隊

空団

潜艦隊

各掃群
(1) 隷下部隊の任務遂行上必要 と認める場合

(2) 緊急に海洋調査の必要があり、海洋群司令から要請され た場合

(3) 地方隊において、海洋機関 から要請があり、地方総監が 本観測を海上自衛隊の任務遂 行上有益と認めた場合
日本周辺の

海域

各地隊
担当警備区域

海洋群
(1) 各種作戦に影響を及ぼす海洋特性の調査研究に必要な場合

(2) 作戦用海洋図誌を作成するために必要な場合

(3) 自衛隊司令官等から要請された場合
日本周辺の

海域

5 その他の観測

 艦艇等の長は、航海中等次のいずれかの状況に遭遇したとき、任務に支障のない範囲でその状況について観測を行う。

(1) 海図に記載されていない水中障害物を発見した場合

(2) 海図と著しく異なった水深を観測した場合

(3) 海洋に原因があると認められるソーナー又はMADの異常な探知状況に遭遇した場合

(4) 海底火山爆発等による海面の異常を発見した場合

6 観測要領

 観測の要領は、海洋観測教範及び気象観測教範(陸上及び海上の部)による。ただし、当該教範によることができない場合は、海洋業務群司令の定めるところによるものとする。

   第3 観測資料等の処理

1 観測記録等の作成

(1) 観測を実施した艦艇等の長は、次の観測記録等を作成する。ただし、ART観測記録、ART通報記録及び雑音レベル観測記録は、航空基地隊等の長が作成するものとする。

(2) 観測記録等の作成要領は、海洋業務群司令所定とする。

2 観測記録等の処理

(1) 艦艇等の長の処理

ア 観測を実施した艦艇の長は、対潜海洋予報作成のため必要な観測資料について次により速やかに海洋通報を行う。
部 隊
通報する観測

資料
海洋通報

の種類
実施要領

艦艇(潜水艦を除く。)
  BT、XBT、ナンセン又はSTDにより観測した水温構造等
水温通報
(ア) 本通報は、入港後電報処理するものとする。ただし、航海中任務に支障のない場合は約12時間ごとの観測資料をまとめて電報で発信するものとする。

(イ) あて先及び通報式は、付録「海洋通報等のあて先及び通報式」による。

(ウ)各通報の取扱い区分は「注意」とする。

GEK装備艦艇
  GEKにより観測した表面海潮流
GEK通報

イ 観測を実施した艦艇等の長は、次により観測記録等を送付する。
部   隊
送  付  先

艦艇(潜水艦を除く。)
入港地の地方総監部防衛部長

潜   水   艦
対潜隊司令(潜群司令経由)

航   空   機
着陸地の航空基地隊等の長

(2) 地方総監部防衛部長及び航空基地隊等の長の処理

ア 観測記録等を受領した航空基地隊等の長は、対潜海洋予報作成のため必要な観測資料について次により速やかに海洋通報を行う。
部隊
通報する観測

資料
海洋通報

の種類
実 施 要 領

航空基地隊等
  ARTにより観測した表面水温及び潮目等
ART通報
(ア) 気象海洋データ系(WECOM-N)により通報する。

(イ) 通報式は別紙「ART通報式」による。

 BTブイ、XBTにより観測した水温構造等
水温通報
(ア) 本通報は、当日分の観測資料をとりまとめ電報処理するのを例とする。

(イ) あて先及び通報式は付録「海洋通報等のあて先及び通報式」による。

(ウ) 各通報の取扱い区分は「注意」とする。

海中雑音レベル指示器により観測した雑音
雑音通報

イ 地方総監部防衛部長及び航空基地隊等の長は、受領した観測記録等を対潜資料隊司令へ送付する。

(3) 対潜資料隊司令の処理

対潜資料隊司令は、受領した海洋通報及び観測記録等について所要の処理を行う。

3 海洋機関からの資料の収集等

(1) 海洋機関からの資料の収集

各地方隊及び海洋業務群においては、それぞれ次に示す海洋機関の海洋に関する資料を収集する。
担当部隊
海   洋   機   関

各 地 隊
  警備担当区域内に所在する海洋機関、ただし、東京都所在機関は海洋群、岩手県及び宮城県所在機関は大地隊の所掌とする。

海 洋 群
  東京都所在及び国外の海洋機関

(2) 収集資料の送付

各地方隊においては、前号により収集した資料を対潜資料隊司令あて送付する。ただし、対潜海洋予報の作成に利用し得る最新の水温構造及び海潮流等の資料を入手した場合には、海洋通報を行うものとする。

4 海洋業務期報

 各地方隊及び航空基地隊等においては、前各項に基づく海洋に関する資料等の入手状況について、別紙様式第23により各四半期ごとに当該四半期の終了後の1か月以内に海洋業務群司令あて送付する。

   第4 海洋予察資料等の作成及び配布

1 対潜海洋予報

(1) 海洋業務群司令は、次により対潜海洋予報を作成し配布するものとする。

なお、実施の細部については、司令の所定とする。

ア 海況予報

 海況予報は、次により定期的に作成し配布する。
内   容
作成の基準
あ て 先

区 分
解析図
予想図

表面水温

 
  10日に1回
  付録「海洋通報等 のあて先及び通報式」による。

層 深

 

水温傾度

 

水温構造


注:○印は定期的に作成するものを示す。

イ 探知距離予報

 探知距離予報は、次により作成配布する。
予報の区分
項  目
予報の内容
作成の基準

定期予報
パッシブ武器の

探知距離予報
周波数別音波伝搬

損失等
10日に1回

要求予報
パッシブ武器の

探知距離予報
部隊の要求

の都度

アクテイブ武器の

探知距離予報 
速力別機器別探知

距離等

(2) SFシステム端末装置を保有する部隊等の長は、次により部隊予報を作成することができる。ただし、作成要領については、海洋業務隊司令の定めるところによるものとする。

部隊予報
項  目
予報の内容
作成の基準

パッシブ武器の

探知距離予報
周波数別音波伝搬損失等
部隊の要求

の都度

アクテイブ武器

の探知距離予報
速力別機器別探知距離等

2 海洋図誌の編さん及び配布

 海洋業務群司令は、次の海洋図誌を成作し、関係部隊に配布するものとする。

 なお、実施の細部については司令の所定とする。

(1) 指定観測の海洋図誌

(2) 我が国周辺海域の海洋特性に関する次の海洋図誌
図 誌 名
内  容

一般海洋図誌
  水温・塩分構造、音速、海潮流、海底地形、底質、海底プロフイル、音響特性、海中電導度等の個々の海洋要素の特性を示す海洋図誌

作戦用海洋図誌
  各種戦ごとに、必要な海洋要素を包含し、各種戦に直接使用することを目的とした海洋図誌

   第5 海洋に関する研究

1 海洋業務群における研究

 海洋業務群においては、収集した各種海洋資料に基づき、海上作戦の遂行に必要な我が国周辺海域の海洋特性、海洋観測法及び資料処理法等について研究を行う。

2 地方隊における研究

 地方隊においては、自隊の観測資料及びその他の収集資料に基づき、担当の警備区における各種作戦の遂行に必要な海洋特性について研究を行う。

3 その他の部隊及び機関における研究

 その他の部隊及び機関においては、それぞれの任務遂行に関係する海洋特性について研究を行う。

   第6 その他

1 海洋業務報告

 海洋業務群司令は、各年度ごとに海洋業務の実績をとりまとめ、翌年度の6月30日までに報告するものとする。

2 技術指導

 海洋業務群司令は、必要に応じ部隊の実施する海洋観測及び資料処理等について技術指導を行うものとする。

3 資料の保管

(1) 海洋業務群司令は、収集した海洋資料を保管する。

(2) 海上自衛隊の観測した記録及び海洋業務群の作成した海洋図誌の保存期間は、原本については永久、その他については海洋業務群司令の所定とする。

4 委任規定

 自衛艦隊司令官及びその指定する者、各地方総監並びに海洋業務群司令は、この基準に定めるもののほか、海洋業務の実施について必要な事項を定めることができる。